企業の採用活動において、履歴書の内容が正確であることは非常に重要です。しかし残念ながら、学歴や職歴、スキルなどを誇張したり、場合によっては完全に偽ったりする応募者が存在します。こうした「虚偽の履歴書」は、企業にとって大きなリスク。間違った人材を採用してしまうと、時間的・金銭的な損失だけでなく、チーム全体への悪影響も懸念されます。
そこで今回は、虚偽の履歴書を見抜くための調査方法と、発覚した際の対応策について詳しく解説します。
虚偽の履歴書を見破るための具体的な調査方法
1. 職歴や学歴の確認
◎前職への在籍確認
応募者が申告した企業に、在籍期間や役職などを確認しましょう。ただし、個人情報保護の観点から、応募者の同意を得たうえで行うのが望ましいです。
◎学歴証明書の提出を求める
卒業証明書や成績証明書を提出してもらうことで、記載された学歴の信憑性をチェックできます。
◎リファレンスチェックの実施
前職の上司や同僚に連絡を取り、実際の勤務態度や実績、スキルなどを客観的に把握しましょう。
2. スキルや資格の検証
◎資格証明書の確認
国家資格や専門資格については、証明書の提出を義務付けましょう。特に重要なポジションでは、慎重なチェックが必要です。
◎実技・筆記試験の実施
技術職やクリエイティブ職などでは、スキルを実際に確認するための試験を行うのが効果的です。
◎ポートフォリオや成果物の提示
過去のプロジェクトや制作物を見せてもらえば、スキルの真偽を判断できます。
3. 面接での矛盾点を見抜く
◎業務内容の詳細を聞く
「前職ではどのような仕事をしていましたか?」という質問で、経験に基づいた具体的な話ができるかをチェックします。
◎スキルに関するエピソードを確認する
「このスキルを使ってどのような成果を上げましたか?」と聞くことで、実際の経験があるかが見えてきます。
◎一貫性を確認する
同じ質問を面接の前後で繰り返し、答えに矛盾がないかを確認するのも有効です。
虚偽が発覚した場合の適切な対応とは?
1. まずは事実確認を徹底
虚偽の可能性があっても、すぐに結論を出さず、応募者に確認することが重要です。記載ミスや誤解の可能性もあるため、冷静な対応を心がけましょう。
2. 採用可否の判断
軽微な虚偽(スキルの誇張など)であれば、能力や適性を見たうえで採用を検討する余地はあります。しかし、学歴や職歴の詐称といった重大な虚偽が確認された場合は、基本的に不採用とするのが妥当です。
3. 既に採用してしまった場合
採用後に虚偽が発覚した場合は、就業規則や契約内容に基づいて対処します。多くの企業では経歴詐称は懲戒解雇の対象とされるため、法務部門と連携して慎重に判断しましょう。
再発防止のための対策
- リファレンスチェックの義務化
- 面接質問のブラッシュアップ
- 試用期間を活用したスクリーニング
これらを採用フローに組み込むことで、虚偽リスクを事前に防ぐ体制を整えましょう。
履歴書は単なる書類ではなく、その人の信頼性をはかる重要な情報源です。採用担当者は、書かれている情報を鵜呑みにするのではなく、常に検証する姿勢を持つことが求められます。
適切なチェック体制と冷静な判断力を持って、信頼できる人材を採用し、企業の成長を支える強いチームづくりを目指しましょう。
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