「輸入車なんて、故障しやすいし高いだけで、見栄っぱりが乗るもんじゃない」
輸入車を所有していると、そんな言葉を耳にすることがあります。中には、まるで私の選択が「愚か」であるかのように言われることも。確かに、国産車に比べて初期費用が高い傾向にありますし、修理となれば部品代や工賃もそれなりにかかることは否定しません。
でも、本当にそうでしょうか?
私は、この意見が輸入車の「表面」だけを見て判断された、いささか一方的な偏見だと感じています。
今回は、同じように悩んでいる方、あるいは輸入車に対してネガティブなイメージをお持ちの方に向けて、私の愛車が教えてくれた「輸入車の真の価値」についてお話ししたいと思います。
「故障しやすい」は、もはや過去の神話?
まず、「故障しやすい」という点について。
正直に言いましょう。一昔前の輸入車の中には、繊細な気質を持つモデルがあったのも事実です。しかし、現代の輸入車は技術の進歩により、その信頼性は格段に向上しています。
私が感じるのは、「現代の輸入車は、適切なメンテナンスをすれば国産車と遜色ない信頼性を発揮する」という事実です。
- 品質の向上: グローバル展開が進み、厳しい品質基準が設けられている現代の自動車メーカーは、国産・輸入の垣根を越えて品質向上に努めています。
- 予防整備の重要性: 確かに、国産車に比べて消耗品の交換時期が早めに設定されていたり、特定の部品が国産車よりもデリケートな場合もあります。しかし、これは「壊れやすい」のではなく、「適切なタイミングでの予防整備が重要」という意味。正規ディーラーや輸入車専門のプロショップの充実したサポート体制を活用すれば、大きなトラブルに見舞われることは稀です。
- 「故障」の定義: 一概に「故障」と言っても、電装系の軽微な警告灯点灯と、走行不能なトラブルでは意味合いが全く異なります。国産車でも起こりうる小さなトラブルをもって、「故障しやすい」と一括りにするのは、少し乱暴ではないでしょうか。
適切なケアを怠らなければ、輸入車も長く、安心して乗り続けられるパートナーになります。
「高額な費用」の先に広がる「体験」という価値
次に、「高額な費用」について。
はい、認めます。初期費用も、もしもの修理費も、国産車より高くなるケースが多いのは事実です。しかし、それは「見栄」のためでしょうか?私はそうは思いません。
この「高額な費用」の先には、数値では測りきれない「体験」と「価値」が存在します。
- 五感を刺激する走行性能と乗り心地:
シートに身を沈めた瞬間に感じる、吸い付くようなフィット感。アクセルを踏み込んだときの、低く心地よく響くエンジンの唸り。ワインディングロードでの、路面に吸い付くような正確なハンドリングと、しなやかな足回り。これらは、単なる移動手段としての車では得られない、濃密な体験です。長距離移動でも疲れにくい設計や、高速域での圧倒的な安定感は、乗ってみないと分からない輸入車ならではの魅力です。 - 唯一無二のデザインと上質な質感:
流麗なボディライン、洗練されたインテリア、細部にまでこだわり抜かれた素材選び。輸入車は、走る芸術品とも言えるデザイン性を持つモデルが多数存在します。それは、単なる移動手段を超えて、所有する喜び、眺める喜びを与えてくれます。毎日乗り込むたびに、「美しい」と感じる瞬間は、何物にも代えがたいものです。 - 先進の安全性能と高い安心感:
多くの輸入車メーカーは、安全性を最優先事項と捉え、最先端の安全技術を積極的に投入しています。万が一の事故の際に、乗員を最大限に守る設計思想や、アクティブセーフティ機能の充実度は、時に国産車を凌駕するレベルです。価格に反映されるのは、単なる部品代だけでなく、そうした研究開発費や哲学の結晶でもあるのです。 - ブランドが持つ歴史と哲学:
特定のブランドを選ぶということは、単に車を買うだけでなく、そのブランドが長年培ってきた歴史、技術、そして哲学を所有することでもあります。それは、一種の文化的な体験であり、所有する者の感性を刺激するものです。
これらの「体験」や「価値」は、単純な経済合理性や費用対効果だけでは語り尽くせません。車を単なる移動の道具ではなく、人生を豊かにするパートナー、あるいは自己表現の手段と捉えるならば、その対価を支払うことは決して「愚かな選択」ではありません。
自分の価値観に正直であることこそが、最も賢い選択
輸入車を選ぶことは、決して「見栄」のためだけではありません。
もちろん、ステータスとしての一面を否定するつもりはありませんが、多くのオーナーは、車に対する深い愛情と、そこで得られる唯一無二の「体験」に惹かれて輸入車を選んでいます。
車を選ぶ基準は人それぞれです。経済性、燃費、実用性、安全性、デザイン、走行性能、ブランドイメージ……。何を重視するかは、個人のライフスタイルや価値観によって大きく異なります。
もしあなたが、
- 運転そのものを心から楽しみたい
- 質の高い「移動体験」を味わいたい
- デザインやブランドにこだわりたい
- 所有する喜びを感じたい
そう願うのであれば、輸入車はあなたの期待を裏切らないでしょう。
輸入車は、確かに誰にでも勧められる「合理的」な選択肢ではないかもしれません。しかし、自分の価値観に正直に向き合い、「これだ!」と直感的に感じた一台を選ぶことは、人生を豊かにするための、最も「賢い選択」だと私は信じています。
私の愛車ももう13年目を迎えました。幸い大きな故障は経験したことがありません。まだまだ乗り続けたい相棒です。
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